ラッセルJr.がDAZNと会談サンタ・クルス戦は実現するのか?!

投稿者: | 2019年6月14日

 やはり、レオ・サンタ・クルス(メキシコ)とのビッグ・ファイトはかないそうにない。PBC傘下のWBC世界フェザー級王者ゲーリー・ラッセルJr.(米)が、フリー・エージェント宣言。ストリーム配信大手DAZNがラッセルJr.獲得に名乗りをあげている。
 
 ESPNダン・レイフィール氏によれば、ラッセルJr.は地元米ワシントンD.Cで、PBCと対立関係にあるDAZN(ダ・ゾーン)と大型契約した英国大手プロモーションズ、マッチルーム・ボクシングUSAを率いるエディ・ハーン氏と会談した。

 会談には、トレーナーであり父のラッセルSr氏も出席。現段階で具体化した話は公になってないもの、有力な人材確保が急務なDAZNがラッセルJr.と契約に成功すれば、米国ではカネロに次ぐメジャー選手獲得になる。

 30歳を迎えたラッセルJr.、今が全盛期のはずだが、なんと試合は年1のペースだ。怪我の影響もあるが試合枯れという重大な問題を抱えている。会談の中、ラッセルJrは年に複数戦することを臨んでいたという。ハーン氏は、ラッセルJr.獲得に意欲的で好条件のオファーを掲示する予定だと話している。

広告塔が少ないDAZN

 英パフォーム傘下のDAZNは、2019年米ボクシング界に新たに参入。米4大リーグの放映権が数年先まで握られDAZNはボクシングに莫大な資金を投入しているが課題は多い。マッチルーム・ボクシングUSAと10億ドルの契約を結び、北米で最大の商品価値を誇るカネロと3億6500万ドルの巨額契約を締結したが、広告塔になる選手は少ない。

 実際、DAZNの契約者数は世界で400万人に達するが、米国ではいまだ契約者数は100万人に届いていない。もちろん、巨額の資金投入は市場を独占するための先行投資だが、その資金を回収するまでには至っていない。

 米メディアによると、2019年5月米ラスベガスで行われたミドル級タイトルマッチ、カネロ対ジェイコブス戦の視聴者件数は、DAZN全体で120万件。米国からは60万世帯を超え、月額20ドル、年間100ドルの契約者が含まれるという。

 カネロ、ジェイコブスの報酬は4800万ドル(約52億4600万円)をカバーできるとはいえ、カネロの契約金を回収するには月に数十万人単位で契約者を増やす必要があり、裾野拡大は最大の課題だと言える。

 それと加入者を増やすだけでなく、同時に米国におけるブランド力も強化していく必要がある。資金力こそあるが、米国ではライバルとなるPBC、トップランクと比較するとDAZNの浸透力はまだまだ薄く、ブランド力も強化していく必要がある。

 米国では、ネット配信のネットフリックス、Amazonが台頭。米TV事業者を揺るがす存在となっているが、既存勢力の勢いは強い。ヘイモンが指揮するPBCは、メーン格となるマニー・パッキャオ(フィリピン)、マイキー・ガルシア(米)有力な人材を囲い込み、契約するShowtimeやFOXに送り込み話題性のあるマッチメークを組み注目を集めている。中継する米地上波FOXの視聴件数も直近で200万世帯を超え好調だ。

 そして、米国ではスポーツ専門チャンネルとして絶大な支持があるESPNと契約したトップランクとは、MTKグローバルと提携し勢力圏を拡大中。クォリティの高いカードを提供してきている。

 2018年、コードカッター(ケーブルTV解約者)の影響でESPNの加入者数は減少傾向にあるもの新たにローンチしたネット・ストリーム配信サービスESPN+が好調だ。契約者は半年で100万人を超え、その後も加入者を伸ばし現在では200万人に達し、順調にユーザーを獲得している。

サンタ・クルス戦は消滅か

photo by:boxingscene


 ゲーリー・ラッセルJr.、フェザー級で実力を疑うものはいないだろう。ライバルとなるWBA世界フェザ級スーパー王者レオ・サンタ・クルス(メキシコ)戦はクローズ・アップされるが一向に実現する気配はない。

 「サンタ・クルス、プロモーターも信用できない。ヘイモンがこの戦いを臨んでいるかも疑っているんだ。なぜなら、結果がどうなるか分かっているからね」

 ラッセルJr.は、長い間PBCを指揮するアル・ヘイモン氏と契約を交わし関係性にも満足していたが、ここにきて不信感を示した。試合枯れ、いつになってもビッグマッチが実現しないことも原因なのだろう。

DAZNはラッセルと同じフェザー級ではビッグネームは少ないが試合枯れの心配はない。交渉の条件次第でDAZNと契約する可能性もるが、このままPBCに残留する可能性もある。

フリー・エージェント宣言したとはいえヘイモンは、これまで高額報酬をラッセルに支払っている。パトリック・ハイランド戦では80万ドル、ジョセフ・ディアス戦は140万ドル(約1億5166万円)の報酬を受け取り、ラッセル自身もヘイモンとの関係に満足している。

ラッセルがPBCで稼げるオプションは、サンタ・クルスだけではなく、ヘイモンが引き止める可能性もある。1階級あればスーパーフェザー級にはPBCのスター候補ガーボンタ・デービスがいる。DAZNは報酬と魅力的なマッチアップが組めるかどうかがラッセル獲得の重要なキーになる。

 米ロサンゼルスを拠点とするサンタ・クルスは西海岸ではメーンを務める人気者だ。しかし、どうやらマネージメントするヘイモンが、リスキーなラッセルJr.戦を承認する気はなさそうだ。

 これまでも、サンタ・クルスはビッグ・ファイトを優先してきた。スーパーバンタム級からフェザー級にあげ初戦でメキシカンのアブネル・マレス、英ベルファストで絶大な支持を受けるカール・フランプトン(英)らと連戦、軽量級では異例といえる100万ドル(約1億1189万円)を超える報酬を稼いでいる。

 ボクシングは実力より人気が左右されるスポーツで、こうした流れは当然で理解できるが、スーパーバンタム級時代に無名選手相手に報酬を荒稼ぎしてきたサンタ・クルスに対し、厳しい声もすくなくない。

 一方で、米国オリンピアン代表に選出されトップアマの実績をもつラッセルJr.は、高等スキルはもちろん、スピードもありパンチもパワフルだ。下からあげてきたサンタ・クルスにとってラッセルJr.戦に向け不安要素は多い。

 打撃戦でファンをわかせてるもの、直近、格下のリベラにしても倒しきれずパワー・レスが露呈。回転力の速い連打が持ち味のサンタ・クルスが入り込めるかどうか。スタイルは基本に忠実で安定感はあるが、フェザー級に上げてからは決定力にかけている。

 ラッセルJr.戦が実現しないと思う理由はいくつかある。まずは、一向にサンタ・クルスがサウスポー相手と試合をしないことだ。もし、ヘイモンがラッセルJr.戦を目論んでいるなら、チューン・アップ戦でサウスポーの好敵手をあてがうはずだ。

 しかし、直近、アブネル・マレス(メキシコ)、クリス・アバロス(米)、直近のラファエル・リベラ(メキシコ)は何れもオーソドックスの選手だ。

 それに、軽量級でビッグマネーを生むサンタ・クルスは、米西海岸では抜群の集客能力があり、負け方によっては商品価値の下落は免れない。PBCの事実上マッチメークの最終権限をもつと言われるヘイモンが首を縦にふるだろうか。

 ただ、サンタ・クルスにしても、フェザー級であれば対戦相手は限られてくる。今後、本人が言うようにスーパーフェザー級にあげ名声をあげられるかは疑問だ。

 タイトルが乱立する時代に本当に価値があるのは、複数階級制覇や防衛記録ではなく、誰に勝ったがもっとも重要だ。スーパーフェザー級にあげる場合、どこに照準をあわせるのか。

 スーパーフェザー級屈指の強豪ガーボンタ・デービス(米)戦を臨むコメントをしているが、小柄ながら爆発的な瞬発力、ロング、インサイドと多彩な攻撃パターンあるデービスを抑え込めるだろうか。もっとも、実現するかは別問題だが・・・そういった意味でもPBCが稼ぎ頭のサンタ・クルスをスーパーフェザー級にあげるとした場合、どの場所のピースに埋めるのか興味深いところではある。

(Via:ESPN

Sponsor Link